あとは頼みます。

ここまでは考えたので…

【読書】みる わかる 伝える

【本の読書記録パート6】 「みる わかる 伝える」
 
以前購入した本を再読してみました。
みる わかる 伝える (講談社文庫)

みる わかる 伝える (講談社文庫)

 

 

要約

トラブルの多くは伝える側と受け手の思いこみにより、情報・知識・感情が正確に伝わらないことで起きる。知識を学ぶこと、知識を伝えることについて失敗学の提唱者である筆者からの視点で描かれた一冊。
 
 
内容

【第1部 「みる」編】
 
私たちの活動は「みる」ことから始まっており、これが全ての基本となっている。ちゃんと「みる」ことができなければ、「わかる」ようにもならず、「伝える」こともできない。本書でいう「みる」は視覚だけの「見る」とは違う。聴覚・嗅覚・味覚・触覚などの5感をフルに使い、目的意識を持って「みる」ことを指す。「3現」こそが「みる」の基本である。
 
「現地」…足を運ぶ
「現物」…直接見て触れて
「現人」…現場にいる人の話を聴く
 
ネットをはじめ各種のメディアが充実しているため、そうした情報を見るだけでかなりのことがわかる。また、専門家のコメントを読めば問題点をそれなりに理解することもできる。だが、実際に現地に言ったり、生で触れる事実は大きく違う。常に問題意識を持って行動し、実際の体験の中で、自分自身で何かを感じたり自分の頭で主体的に考えるのである。これが何よりも大切な事であり、本当の知識はこうして体得するものである。
 
  • 逆演算でみる
逆演算の見方は、結果から遡っていくことで物事に優先順位をつけやすい。失敗の原因は「想定漏れ」にあるが、重大な結果に結びつき脈絡のみをクローズアップすることができる。順演算と逆演算の両方の見方でみることが重要。
 
  • 仮想演習をする
条件を変えたときに何が起こるかを想像する方法を「仮想演習」と呼んでいる。複数のルートを構築することで、条件が変化し途中にトラブルが発生した場合でも臨機応変に対応することが可能となる。
 
 
【第2部 「わかる」編】
 
世の中の事象は、「要素」と「構造」から成り立っている。
 
現象を理解するプロセス
①:現象を構成する要素を抽出する
②:要素同士の結びつきを仮定し、構造化する
③:試動する
④:観察した現象と合致するモデルであるか、検証する
 
最初から簡単に一致することは滅多にない。何度もトライ&エラーを繰り返しながら理想のモデルを作り出すことができるようになる。しかし、見慣れている現象を前にしたときには思考のショートカットが起こり、一目見た瞬間にその現象の事が全て分かるようになる。これが、「直感」による理解である。いわゆる、定式やマニュアルというものは、このような過程を経て出来上がったものである。
 
  • 能動的学習
 
学習はまず行動からはじまる。そこで成功や失敗といった「実体験」を繰り返すうちに、頭の中に現象を理解するための「素地」が出来てくる。つまり「知りたい」という知識欲が生まれてくるのである。真の科学的理解ができるようになった人は、現象の理解がきちんとできるだけはなく、現象をモデル化して説明できる。また、条件変化による予期せぬ事態にも正しく対応できる。
新しい現象を理解する人は上手い人は、アナロジー(似ているものから類推する能力)を持っている。具体的なもの(属性)を削ぎ落してその中に含まれる基本的な考え方、一般化された概念にまで遡って考える力が必要である。さすれば、共通性を理解し、他分野に応用することができるようになる。
 
【第3部 「伝える」編】
 
本書で扱う知識を「伝える」ことについて扱う。知識を正確に伝えることは、情報をやり取りするお互いの「要素と構造のテンプレート」が一致することである。
 
  • 「伝える」ということ
 
伝えることで重要なのは、「どう伝えるか」ではない。伝える側の「伝達手段(プロセス)」ではなく、伝えることができたかどうかという「結果」で決まる。人にはそれぞれのモノの見方があり、多種多様な考え方が存在する。伝える側にとって大切なのは、伝える手段を充実させることではない。本当に伝わったかどうか、きちんと「見守る」ことである。そして、伝わってないと感じた場合は助言をする。
 
  • ベストな方法はむしりとらせる
 
伝える側がはじめに考えることは、相手が知識を欲しくなる状況を作ることである。人は「この知識がほしい」と思うようにならなければ、頭が能動的に働かないようにできている。知識の伝達とは、与えられるのではなく、受ける側がむしりとることなのだ。
新人が相手であれば、まず仕事をやらせてみる。ほとんどのケースはうまくいかないだろう。そこで、なぜ失敗したのかを本人に考えさせ、必要に応じて教えるのだ。
 
  • 何が伝達に必要か
 
知識化とは、先にも論じた通り「上位概念に登る」=具体的事象を一般化した内容を伝えることが大事。知識化の基本は「原因ー行動ー結果」の因果関係を明快な文章および絵で示す事。文章が持つ一般性と、絵が持つ具体性が加わり、互いに補完し合うようなカタチで使用するのがよい。
 
  • 「陰」知識の重要性
 
知識にはマニュアルのような「陽」の部分と、その裏側にある「陰」の部分がある。「陰」知識には、ある場面でこんな風に迷ったが、そのときこのように考え、このように決めたというプロセスが描かれている。その他、製作後の感想や失敗情報などが記載されているものであり、まさしく「暗黙知」と同義の内容である。「暗黙知」を表出し共有することが、組織でミスを防ぐための最適な方法である。情報伝達を上手くするには、「陰」知識の伝達を積極的に活用することが重要である。
 
 
感想

誰にでも理解できるよう難しい概念を噛み砕いて説明している印象を受けました。でも、それが逆に「まわりくどい」感触があって、結局何を伝えたいかが読み取りづらい。もう少しスマートな直接的な言葉で説明してあってもいいのかなと。図説や例を挙げて要旨を補足してあり、それでなんとか理解することができましたが、ページ数が少ない割に読み込んで内容を纏めるのにかなり時間を要してしまいました。
 
【まとめ】
 
  • 「みる」とは
本当の知識を得ることができるのは、五感をフルに使い「3現」を原則とすることで、実体験を通して「自分で考える」プロセスを実行すること。「視点を持つ」というのは、膨大に存在するデータの中から、解析に必要な情報をだけを抜き取ること。
 
  • 「わかる」とは
要素と構造のテンプレートが一致すること。要素を構造化し、試動することで想像した現象と同じモデルであるかどうかを分析する。能動的学習でしか本物の知識を習得する術は無く、「みる」ことと同様に実体験から学ぶ必要がある。
 
  • 「伝える」とは
相手に伝わったかどうかを確認し「見守る」姿勢が重要。伝わってないのであれば、助言する。知識を伝達する上で最も効果的な方法は、むしり取らせること。情報伝達には、一般化した文章と、具現化した絵の両方を合わせる。表面化されていない「暗黙知」を共有することが組織としてミスを防ぐのに重要な方法である。
 
 
【筆者の主張】
 
「自分の頭で考えろ!」というのがこの本の主張でした。
自分の頭で考える事で、思考回路が出来上がる。そうした思考回路は、嫌々強制されたり、型通りに教えられたやり方をやっていても絶対にできない。「独立した個」が考えるというのが最重要なのだ。
 
読書習慣がついてきて、別の本でも同様の主張を何度も目にしている。考える癖がついてきて、少しずつ考えること自体が楽しくなってきている。能動的学習しか真の知識を得る事はできないという主張は、今なら理解できる。
 
おわり。